中流や下流によく見られるものに扇状地と河岸段丘があります。
扇状地は川が平地に出るとき傾斜が急に緩くなるため、砂礫を堆積した地形で、流れは伏流し、出口(扇央)と裾野(扇端)に水が出ます。
土木技術のなかった縄文から弥生初期に、集落が発達したのは緩傾斜扇状地であったそうで、簡単に水が得られ耕地にしやすかったためだと聞いています。
河岸段丘は土地の隆起によってできた地形で、川が氾濫し、たいらな土地(氾濫原)になったものが、隆起運動で持ち上げられ段丘面になり、また侵食が起こり、下に新しい氾濫原がつくられます。
だから段丘の段数は隆起運動の回数を示すことにもなるのです。
段丘面は氾濫による肥えた土地なので、水を引いて田や畑に利用されています。
扇状地と同じように、河口でも傾斜が変わるから土砂が堆積され、三角州(デルタ)になります。
いわゆる四大文明の発祥地がデルタであったことは周知の事実ですが、川が人間の生活にとって重要なことはいまも変わりはありませんね。
谷を埋め、川を汚したツケがまわってきた現在、護岸工事を自然工法でとか、ダムに魚道をとか、川の自然を取り戻そうとする動きが起こりつつあります。
そんな想いが、より自然が豊かだろうと思われる源流への憧れとなります。
川の源流というと、深い谷の奥とか、険しい山の原生林の中と思いがちですが、そんな場所ばかりではないのです。
高原や牧草地が源流の川もあれば、水田の用水が源流だったりします。
96年に出版された『意外な水源・不思議な分水』(堀淳一著東京書籍刊)に、こんな誰でも行ける源流(水源)がまとめられています。
谷に関する山用語を理解しておくと、ガイドブックなどを読むのに便利です。
上流から順に見てみましょう。
まずわかっているようで知らないのは、谷(川)の右岸、左岸でsy。
これは下流に向いての左右なので、これを知らないとまったく逆になります。
ガイドブックでも逆に書いてあるのがあったりするでの、意外と知らない人が多いようですね。
なかには左側とか左手は上流に向ってで、右岸左岸は下流に向いて書いてあるのがあったりして、ますます混乱してしまいます。
よく出てくる言葉にスラブというのがあります。
これは、一枚岩とか露出した岩盤のことです。
また、ガリーというのも同じように使われていますが、これは岩が溝のように水の流れで削られた場所のこと。
ガリーから流れ出た水が枝沢になり、本谷に合流する所(出合)では、滝になって落ちていることが多いです。
これを懸谷(ハンギングバレー)といっています。
いくつかの枝沢を合わせた流れは侵食が強くなり、深い谷を造ります。
これが先に書いた峡谷(ゴルジュ)というわけです。
谷には多くの人が行った経験があるはずです。
山歩きや沢登りではなく、観光旅行の紅葉狩りや新緑を眺めに、ナントカ渓谷やカントカ峡谷に行く機会は多いです。
谷、沢、峡谷、渓谷は果たして同じなのか、違うのか・・・。
こんなことから谷を考えてみるのもおもしろいですよね。
一般に谷は沢より大きく、渓谷は峡谷より大きいというのが常識ですが、本当なのでしょうか。
東日本では沢、西日本では谷が同じような意味で使われています。
谷を「タン」と読む地域もあり、これも同じ意味だといわれます。
渓谷と峡谷となると、岩に挟まれた谷という意味で同じという人もいれば、川の流れる谷そのものが渓谷だという人もいて、何がなんだかわからなくなります。
英語だと、キャニオン、バレー、クリークの順に小さくなるそうですが、山の用語では、谷、沢、枝沢という順になっています。
峡谷は岩に挟まれた狭い谷の部分のことで、ゴルジュともいわれます。
谷と谷に挟まれた高い部分が尾根とか稜線といわれ、これも主稜と支稜(枝尾根)に分けられます。
川の本流と支流の関係のようなものでしょうか。
峰と峰に挟まれた凹部はコルとか鞍部といいますね。