ここでいう「堅気の自前主義」とは、普通の人が世間で暮す日常行動の原則みたいなもので、それは・・・
1.正業をもち堅実な生計を営むこと
2.できるだけ他人様に迷惑をかけないような自前の暮しをすること
3.もし他人様に迷惑をかけることがあれば礼をつくし、しかるべきお返しをすること
・・・つまり、対人関係における貸借対照表上のバランスをつねに保ち、借りを放置しない生活態度のことであるということができます。
今日でも行われている義理返しは、この生活態度の形式化された慣行です。
お礼の気持ちを表すのに「品物に心を乗せる」という交際儀礼が依然として根強いのもその現れです。
この生活態度においては、他人様に、まったく無償で助けてもらうこと、あるいは面倒をみてもらうことに、ある種のうしろめたさ、ないしちゅうちょを感じ、それをできるだけ避けようとするのです。
福祉の分野にかぎってみても、例えぱ福祉国家の基幹制度としての生活保護の受給事態を数値でみると、つねに実際の受給者が受給資格者を下回りつづけています。